人の賛同がほしくて
評価がほしくて
自分の個性をいつの間にか「人が求めるもの」へすり替えてしまう時期があった。
自信がある・ないとかそういうのじゃなくてただ求めてほしかった。
そうしているうちに歯車がかみ合わなくなって心の感性と絵の表現がくずれてしまった時期がある。
何をすれば正解なのか。
その答えもわからないし、
そういうのもどうでもよくなってしまった。
まるで心のエネルギーが
体から離れぼーっとしている。
生きた心地がしない。
その時思った。
わたしは人の評価を気にしない、自分らしく生きることが難しい性格なんだなって。
だとしたら
何をしたら正解なのか。
その答えが見つからずに時間だけが過ぎていった。
筆をとったり
クロッキーを開くのをやめ
美術館には無関心になり
絵の道具をすべてしまい込み
絵に関わるすべてを遠ざけ
活動をやめた。
すると自分が予想もしないところで
人が喜んでくれることがいくつかあった。
「次はいつ絵画教室を開催しますか?」
「この絵が好きです。」
「色彩が綺麗ですね。あなたのインスピレーションはどこから来るんですか?」
自分が活動をやめても
それと関係ないところで
過去に残した作品や活動について人の反応があった。
そして
「自分がやりたいこと」というよりその反応がある場所に向けて活動し始めたらまた再出発できた。
わたしにとって
人の評価を気にしない
自分らしく生きることは難しいことで。
だったら100人に求められることはできないけど
10人とか3人に求められる活動をしていけばいい。
自分の絵を
デザインを
感性を
色彩を受け入れてくれる人へ届ければいい。
何をすれば正解なのか。
それは自信がある・ないとかじゃなく
わたしを求めてくれる人に向けて活動をする。
それが絵を描くエネルギーになっている。
そうやって再出発できた。
何をすれば正解なのか。
中川知絵子